マグカップを修理するための金継ぎ以外の方法とは?

アイキャッチ画像

「思い出のあるマグカップが割れてしまったので修理したい」。そうしたときは「金継ぎ」で修復する方法があります。

金継ぎとは割れや欠け、ひびなどで破損した陶器などを漆で接着して、金などの金属粉で美しく仕上げる技法のことです。ただし、金継ぎを自分で行うのは簡単ではありません。材料や道具をそろえる必要がある上に技術も必要です。

そこで今回はマグカップが割れてしまったときに、金継ぎ以外で修理する方法を解説します。思い出のマグカップをよみがえらせたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

マグカップが割れる原因は?

マグカップはなぜ、割れてしまうのでしょうか。「床に落してしまった」「ぶつけてしまった」などの物理的な衝撃以外に、マグカップは次のような原因でも割れてしまうこともあります。

●熱を加える
●電子レンジを使う
●食洗機にかける

それぞれの原因を詳しくみていきましょう。

熱を加える

陶器製のマグカップは、加熱によって割れてしまうことがあります。うっかり火の付いたガスコンロの近くに置いていた場合などに起こるケースです。

直火で熱されて割れるだけではありません。熱湯を注いだときに割れるケースもあります。

JIS規格の熱衝撃試験をクリアしたマグカップなら、熱湯の熱だけで割れることはまれですが、海外で量産されたマグカップの場合は、熱いコーヒーを注いだだけで底が抜けるような事故も起きています。

電子レンジを使う

陶器製のマグカップに飲み物を入れて、電子レンジで温めた場合にも割れることがあります。陶器は約800〜1200度で焼き上げられます。したがって電子レンジで温めても「温度」そのものに耐えることは可能です。

しかし、陶器の表面には細かい孔があり、孔から水分を吸収します。水分を含んだ状態で電子レンジに入れると、水の分子が振動して膨張し、陶器が割れる場合もあるのです。

ただし、耐熱加工が施されているマグカップなら電子レンジに入れても構いません。そのため電子レンジで温めるなら「電子レンジOK」と書かれたものを選んでください。

耐熱加工されていない陶器製のマグカップだけでなく、耐熱性がないガラスのマグカップも電子レンジは避けた方が無難です。

金属製のマグカップや金彩、銀彩を施したマグカップも電子レンジは使用できません。電子レンジのマイクロ波が金属に反射して、スパーク(火花)が起こってしまうためです。

食洗器にかける

割れてしまう原因の3つ目は、マグカップを食洗機にかけることです。

食洗機の中では、食器同士が接触する場合もあります。マグカップと他の食器との距離が近い状態で食洗機にかけると接触し欠けやヒビなどの原因となります。

食洗機の水圧も割れや欠けの原因です。食洗機は水圧で食器の汚れを落としています。特に量販品ではなく、作家ものの陶器は、粒子の粗めの土で量産品に比べて低い温度で焼かれるためやわらかく、食洗機に入れると水圧でキズがついたり、割れたりしやすいです。

経年劣化したマグカップが水圧で割れてしまうこともあるでしょう。思い出のマグカップなど大切にしたいものは、面倒でも手洗いすることをおすすめします。

金継ぎでマグカップを修理する方法がある

割れてしまったマグカップを再利用したい場合はどうしたらよいのでしょうか。
本格的に修理する方法の一つに「金継ぎ」での修復があります。金継ぎとは「漆」をベースにしたペースト状の接着剤で割れた陶器を接着して、仕上げに金などの金属の粉を蒔いて仕上げる修復方法です。

マグカップ本体はもちろん、持ち手部分だけが取れてしまった場合にも修復できます。

金継ぎは修復の機能性だけでなく、見た目の美しさからも日本人に愛されてきました。その歴史は室町時代の茶の湯にさかのぼります。

壊れたものをただ捨てるのではなく、直して大切に使い続ける。そうした日用品を大事にするサステナブルな精神も、金継ぎの魅力として、現代でも評価されています。

金継ぎでのマグカップ修理は難しい

日本人の美意識や精神性にも合致する金継ぎですが、個人が金継ぎの手法でマグカップを修理するのは大変かもしれません。道具を一式そろえるにも費用がかかり、手法を学ぶのに時間もかかるためです。

金継ぎに使用する漆は、皮膚がかぶれるため取り扱いも要注意。粘膜に付いてしまうと皮膚炎を起こす可能性もあります。漆かぶれを起こす原因は、主成分のウルシオールです。ウルシオールが皮膚に付くと数時間から約一週間の潜伏期のあと、痒みを伴った小水疱疹ができてしまいます。

費用はかかりますが、金継ぎをしたい場合はプロの職人や業者に依頼するのがおすすめです。マグカップの大きさや破損状態によって費用は変わりますが、金継ぎの費用がマグカップ本体のコストを上回ることもあります。

金継ぎをプロに依頼するなら、相見積もりで費用を比較した上で頼むとよいでしょう。

マグカップを金継ぎ以外で修理する方法

金継ぎでの修理が難しいなら、それ以外の方法も検討しましょう。簡単にマグカップを修理するには以下の方法があります。

●接着剤を使う方法
●パテを使う方法

それぞれを詳しくみていきましょう。

接着剤を使う方法

自宅で手軽にマグカップの修理を行うなら、市販の接着剤を用いる方法があります。あまりに粉々に砕けている場合は、修復が難しくなりますが、大きな破片がある場合や持ち手だけが取れた場合は、比較的簡単に接着できるでしょう。用意するのは「陶器用の接着剤」「ヘラ」「ほこりを拭くための布」「ピンセット(割り箸でも可)」などです。接着剤はホームセンターなどで市販されている「陶器用」を使います。

接着剤を購入する際は、食品安全性のある口にしても人体に影響のない接着剤を選ぶようにしましょう。

まずは割れたマグカップの破片を集めましょう。その際は破片で怪我しないよう気を付けてください。

接着する際は、接着面の汚れやほこりなどを取り除いてから作業を行います。接着したい面に接着剤を適量塗り、接着面を合わせ、はみ出た部分はヘラなどで取り除きます。しっかり乾燥させてから、次の一片に取り掛かりましょう。

全ての接着が終わったら、2日程そのままにして接着剤を乾燥させてください。

パテを使う方法

修理したいマグカップが激しく砕けていたり、欠けたピースが見つからなかったりする場合には、パテ補修での穴埋めも可能です。

パテ補修では金継ぎに使用する天然の漆の代わりに、市販のパテを使用します。パテ素材として代表的なのは、エポキシ樹脂系のパテです。パテを顔料で色付けすると、金継ぎのような見た目に仕上げることもできます。

接着剤と同様、パテを購入する際は、食品安全性のある口にしても人体に影響のないパテを選ぶようにしましょう。

大きな破片は、パテを接着面に薄く均一に塗って貼り合わせればOKです。はみ出したり、盛り上がったりしたパテは、彫刻刀などで削ってください。

粘着性の高いエポキシ樹脂系のパテを使えば、欠けてしまった部分も埋め合わせられます。欠けた部分にパテを押し込むように埋めていき、形を整えましょう。

固まったら削って形を整えれば完成です。元々電子レンジや食洗器でも使えるマグカップなら、パテ修理のマグカップは、電子レンジや食洗機でも使用できます。

まとめ

思い出深いマグカップを捨ててしまうのに抵抗がある方は、上記のようなやり方で修理をするのも一つの方法です。プロに金継ぎを依頼してもよいですし、金継ぎを学んで挑戦するのもよいでしょう。

手間をかけても直したくなるような、オリジナルマグカップを作るなら「マイシュミ」をお試しください。記念に形に残るようなオリジナルのマグカップが簡単に作れます。

一覧へ戻る

関連記事

初めての方
ご利用ガイド

マイページ
会員登録へ